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台湾のソーラーシェアリングの現状報告

9月19日から26日まで、台湾水資源・農業研究院(Taiwan Research Institute on Water Resources and Agriculture:TRIWRA)の招聘で台湾に出張してきましたので、台湾を巡るソーラーシェアリングの現況について簡単に報告します。

台湾では太陽光発電開発に伴う農地の投機が横行するなどしたため、2020年7月に原則的に陸上設置型のソーラーシェアリングが禁止されました。その一方で「漁電共生」と呼ばれる養殖ソーラーシェアリングは認められて発展してきました。しかしソーラーシェアリングの反対派の急先鋒であった農業大臣がつい先日辞職したこともあり、陸上型の設置も再開すべきとの機運が現在盛り上がっています。

TRIWRAと台湾環境・計画協会(Taiwan Environment & Planning Association:TE&P)がそれぞれ主催した国際会議とフォーラムで日本の経験と世界の現状を報告して、政府関係者、民間企業、NGO、住民の方々と意見交換しました。フォーラムでは先方からの強い要望に応えて「匝瑳モデル」も紹介しました。また、TE&Pおよび台湾工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute:ITRI)のアレンジで台南地域の養殖ソーラー、営農ソーラー、大規模太陽光発電、自然保全と太陽光開発の調和、日本企業の進出と地域の漁民との軋轢、経済省や農業省によるソーラーシェアリングの実証試験などをつぶさに観る機会を得て、多角的な視点から同国におけるソーラーシェアリングの未来を深く考え、相互議論することができました。

台湾特有の事情もありますが、国土や平地面積が狭い、耕作放棄地が増加しているなど、日本と似通った部分も多く、互いの経験を生かせる可能性は高く、関係者の日本の経験から学びたいという意欲には高いものがあります。陸上設置型ソーラーシェアリングの再開に向けた制度作りや技術面における日本の協力への期待は大きく、11月頃には荘老達(Juang Lao-Dar)農業省持続的資源利用局局長(Director, Department of Resources Sustainability, Ministry of Agriculture)からは、11月頃に訪問団を組織して匝瑳や農林水産省などを訪問したいとの熱烈なラブコールを受けました。両国の強みを生かして生産的な協力関係を築ければと考えます。

-理事 田島 誠(環境エネルギー政策研究所)-

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