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【事後報告】第4回ソーラーシェアリングフェスティバル(Day1)

6月12日・13日の2日間、京都市勧業館みやこメッセにて「第4回ソーラーシェアリングフェスティバル」を「第3回オーガニックライフスタイルEXPO」との共催により開催しました。会場全体で延べ8,580名、当フェスティバルには延べ約700名が来場しました。

本大会では、2026年4月に農林水産省から公表された新指針(望ましい営農型太陽光の明確化)を踏まえ、政治、農業、再エネ、市民参画など多角的な視点から議論が交わされました。「儲かる農業」への転換、エネルギーや食料の安全保障、生物多様性(ネイチャーポジティブ)との共生、次世代を担う若者や市民を巻き込んだコミュニティのあり方など、多様なセクターとの交流を通じてソーラーシェアリングが持つ持続可能な未来への可能性を、強く発信する有意義な機会となりました。

オープニングセッション

共催挨拶


一般社団法人 全国ご当地エネルギー協会事務総長 / 特定非営利法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長
飯田哲也氏

ISEPの飯田氏はデータに基づき、太陽光発電のコスト低減と、太陽光発電・蓄電池・EV(電気自動車)の普及がもたらす文明の大転換について言及しました。その上で、ソーラーシェアリングは「エネルギー」「農業」「ネイチャーポジティブ(自然再興)」を三位一体で実現できる極めて有効な技術であるとの提言がなされました。


冒頭挨拶①


衆議院議員 / 元農林水産副大臣
笹川博義氏

元農林水産副大臣の笹川博義氏より、本大会にソーラーシェアリングの好事例が集まり、正しい認知が広がることに期待を寄せました。これからの農業はただ環境に優しいだけでなく「儲かる農業」になることが必要であると指摘した上で、農業政策として提言していきたいと語られました。


冒頭挨拶②


ことぶき女将 / 一般社団法人アースデイジャパンネットワーク共同代表
岡田亜理寿氏

アースデイジャパンネットワーク共同代表の岡田亜理寿氏より、毎年4月22日の「アースデー」の由来や日本での広がりが紹介されました。
同法人の活動として、消費電力を抑えた全国アースデーマップの作成や、オンラインでの情報交換、フォーラム開催を提示。さらに、市民一人ひとりが持続可能な未来を作り出す行動の重要性を訴えました。


冒頭挨拶③


一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)事務局長
増川武昭氏

JPEAの増川武昭氏は、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは安価な安定電源であるとした上で、これからの太陽光発電は建物や開発済みの土地を利用するデュアルユース(二重利用)が主流になっていくことと述べました。
これからの農業は地域から喜ばれるものであるべきと指摘し、「営農型太陽光発電」ではなく「太陽光発電活用型農業」と呼称を変え、主役はあくまで農業であることを強調しました。


冒頭挨拶④


株式会社ソーラーシェアリング総合研究所(IRISS)代表取締役
合原亮一氏

IRISSの合原亮一氏より、現在本研究所が行っている研究事例の紹介がありました。IRISSでは大学と連携しながら、情報が未だに少ないソーラーシェアリングの研究を進めています。また、実践者育成のための方策として「ソーラーシェアリングカレッジ」が企画されていることも周知されました。


写真:登壇者の皆様と当連盟役員

実装部会

近年、固定価格買取制度(FIT)に頼らない「Non-FIT時代」の到来に見据えた戦略の重要性が高まっています。そこで当連盟では、いかに経済性を確保しながらソーラーシェアリングを推進・実装していくかを事業者と共に考えるプラットフォームとして「実装部会」を設立しました。この度、その第1回を開催いたしました。

当部会の目的は、単なる売電収益の追求ではなく、地域にしっかりと組み込まれた「地域共生型」のモデルを確立することです。

冒頭挨拶


農林水産省 環境バイオマス政策課長 木村崇之氏

農林水産省環境バイオマス政策課長の木村崇之氏は、農業との両連を図るため、遮光率30%未満などの具体的な設備基準や基本理念を4月に取りまとめたことを伝えました。下部農地での営農継続を大前提とし、農業と適切に両立して地域活性化に貢献する「望ましい営農型」は国として推進する一方で、下の農業がおろそかになり、上の発電事業ばかりに傾倒しているような不適切事例に対しては厳格に対応すると述べました。


「営農型太陽光発電でnon-FIT導入の経験(ファイナンス編)」


石曽根農園株式会社代表取締役
石曽根栄光氏

広大な梅園(10ha)を経営する石曽根農園株式会社代表取締役の石曽根氏は、ソーラーシェアリングによる安定した発電収入で異常気象による凶作リスクを回避し、通年雇用と経営のスケールアップを実現しています。

Non-FIT型ソーラーシェアリングの実装に必要な金融機関からの融資を引き出すポイントとして、①農業本業での確実な売上、②地域密着型の金融機関の活用、③電気の買い手の社会的信用の担保、④コストを抑えたキャッシュフローの健全化、⑤20年間の事業継続性を保証するための組織化、の5点を挙げました。


「畑から始まる地域循環モデル」


社会福祉法人向陽福祉会理事長
高桑勝氏

社会福祉法人向陽福祉会理事長の高桑氏は、同法人で実践している「福祉×農×再エネ」の三位一体モデルについて紹介しました。特別養護老人ホームの隣地に設置した太陽光パネルから施設へ電力を直接供給し、年間電気代の約10%(約140万円)を削減していると報告しました。その原資は地域イベントやコミュニティカフェ(ジャムの配布など)に還元しています。

また、パネルの遮光効果が高齢者や車椅子利用者の熱中症予防(日よけ)になり、農作業環境の改善につながるという「福祉視点でのベネフィット」や、災害時の避難所の電源確保といった地域インフラとしての役割も果たしています。


「地域新電力が営農型太陽光を所有し、公共施設へ供給の仕組みやスキームについて」


うすきエネルギー株式会社代表取締役
小川拓哉氏

うすきエネルギー株式会社代表取締役の小川氏は、環境省の補助金を活用し、2026年1月に稼働したモデルを紹介しました。小川氏は伝統菓子メーカーが営農する有機JAS認証の生姜圃場に、地域新電力であるうすきエネルギーが発電設備を設置しています。発電した電気は、同社を介して臼杵市の公共施設に供給されています。

生姜は半日陰を好むためソーラーシェアリングとの親和性が高く、今後は大学等とも共同研究で、パネルが過酷な夏場の有機農業における作業ストレスをどれだけ軽減できるかについて実証研究を進める方針です。


「営農型垂直太陽光発電のご紹介」


株式会社ユニヴァ・ジャパン代表取締役
姥谷芳昭氏

株式会社ユニヴァ・ジャパン代表の姥谷氏は、北海道幌加内町などの豪雪地域で、日本初となるドイツ製の「垂直型ソーラーシステム」を導入した取り組みを紹介しました。積雪3mを超える地域でも雪の重みで潰れず、さらに一面の雪による光の反射を利用することで、冬場の発電効率が急増するとの報告があり、年間を通じて雪のない地域の野建て発電に匹敵する、あるいはそれを上回る発電量を記録したとのことです。

営農面でも、パネルが防風林の役割を果たし適切な湿度をキープするため牧草の収量が約2割向上した点や、春先はパネルの反射光で周囲の雪が早く溶けるため農作業の開始を前倒しできるなど、これまで大きく注目されなかったメリットが報告されました。


パネルディスカッション

パネルディスカッションではソーラーシェアリングがもたらすバリューについて、登壇者それぞれの取り組みが紹介されました。
石曽根氏は、梅が収穫できるようになるまでの農業収入を発電で補うという農業経営上のバリュー、小川氏は有機生姜は加工用としての需要があり、地域の農業委員会と合意形成をしながら、今後はピーマンやブルーベリー、イチゴなどへの拡大・連携も検討していると述べました。

また姥谷氏はコスト削減目的だけでなく「太陽のありがみ、太陽・土・水・塩だけで牛を生産したい」という生産者の強いポリシーで導入を希望する人もいると伝え、高桑氏は畑というオープンな場所を通じて地域の人と繋がりやすくなるツールとしてのバリューを強調しました。

最後に木村課長は、「普通に農業をやったとしても収量8割の維持はなかなか難しい。他の事業と連携させ、試行錯誤しながら続けている点が、示唆として得られた」と述べました。

農業の6次産業化、農福連携、地域電力、あるいは積雪地特有の環境改善など、「農業や地域に対する明確なプラスアルファ」が益々肝要となることが示されました。

基調講演1

「伝統を更新する、西陣織12代目の「フューチャークラフト」とスマート養蚕」


株式会社細尾代表取締役
細尾真孝氏

元禄元年(1688年)に京都・西陣で創業した織元・問屋の12代目である細尾氏は、高度な分業制が生み出す「究極の美」を守りながらも、過去40年で10分の1に縮小した着物マーケットの危機に立ち向かってきました。現在は、多品種の養蚕に向けて2万本の桑の植樹と施設の建設を進めており、稼働に必要なエネルギーは太陽光発電で自給する計画を進めています。

従来の帯の幅(約30〜32cm)では、海外のインテリアや壁紙に対応できないという課題がありました。そこで2010年、世界初となる「150cm幅の西陣織織機」を自社開発。このイノベーションにより、ディオール、エルメス、シャネル、グッチといった世界最高峰ブランドの内装や、レクサスのドアトリム、さらには大阪万博での巨大建築外壁(長さ65m×高さ14m・ギネス世界記録)へと西陣織の可能性を拡張させました。

細尾氏が次に見据えるのは、西陣織の原材料であるシルクを生み出す日本の養蚕業の復活です。現在、グローバルサウスの安価な労働力に依存する世界の養蚕業に対し、天然繊維としてのシルク需要は高まり、価格は20年で約4倍に高騰しています。細尾氏は京都の丹後地域に約4万2,000平米の土地を取得し、未来型のスマート養蚕施設を立ち上げました。

細尾氏が目指すのは、省人化や無人化ではなく、テクノロジーによって職人の可能性を最大化する「フューチャークラフト」です。「これからの美には、それがどんな環境で、どんなエネルギーで作られたかという背景までが問われる時代になる。桑は太陽の光を非常に好むため、今後は美観に配慮した圧倒的に美しい太陽光パネルの設置を進め、自家発電率を高める」と述べました。


「「半農半歌手」が体現する、楽しく美しい循環の暮らし」


半農半歌手 / シンガーソングライター
Yae氏

シンガーソングライターであり、千葉県鴨川市の「鴨川自然王国」で持続可能な里山づくりを行うYae氏は有機農業の先駆者であった父・藤本敏夫氏の遺志を継ぎ、現地で暮らし始めて20年目を迎えました。

Yae氏は規格外野菜の「カフェ化」や、棚田での米作り、大豆・麦の栽培、味噌・醤油の手作りに至るまで、都市の若者を楽しく巻き込みながら「農的なアクション」を展開しています。さらに空き家を活用し、200〜250年前の貴重な古民家を再生した「土の宿」をオープンしました。

また、深刻化するイノシシやシカの被害に対抗するため、自ら狩猟免許を取得して6年目。朝の見回りで罠にかかった獲物は、自ら槍で止め刺しをして解体し、命を余すことなくお肉としていただきます。これを都会の子供たちにも体験してもらうことで、最高の「食育」の場となっています。獣害対策から食育、そして「かやぶき屋根」にいたるまで、100%の地域循環を体現しています。


政策部会

ソーラーシェアリング推進連盟は、組織改変に伴い今年度5月より新たに立ち上げた「政策部会」の第1回会合をオープンな形で開催しました。会場には立ち見が出るほど多くの関係者が詰めかけ、農林水産省が打ち出した「望ましい営農型太陽光発電の考え方」を巡り、多方面から活発な議論が交わされました。

「望ましい営農型太陽光発電について」


農林水産省 環境バイオマス政策課
千葉陽平氏

日本のソーラーシェアリングは、令和5年度時点で全国約6,000件(面積1,360ha)にまで拡大しています。しかしその一方で、作物品目の偏りや、営農への支障といった課題も浮き彫りになっています。

農林水産省環境バイオマス政策課の千葉陽平氏は、「適切な営農の継続」を大前提とした規律強化を図るため、発電設備および営農に関して、具体的な数値基準を含む指標を整理しました。今後は、この「望ましい営農型太陽光発電の考え方」への適合が一時転用許可の条件として位置づけられる方向で制度改正が進められます。


「ソーラーシェアリング推進連盟の立場について」


持続社会連携推進機構 アース・シェルパ 代表理事
小池宏隆氏

当連盟事務局長の小池氏は、今回の改正が「農山漁村再エネ法」に大きく組み込まれる形での大幅な規制強化であると指摘しました。その上で、ここで次に失敗したら次はないという厳しい状況にあるという共通認識を、業界全体が持つ必要があると伝えました。

さらに、市町村が基本計画を策定しなければそもそも申請すらできなくなるという新制度のハードルの高さを懸念。実質的なゾーニングやソーラーシェアリングへの対応経験はゼロに近いと指摘した上で、これから農業を始めようとする新規就農者や兼業農家の排除に繋がらないよう、地方自治体が柔軟に応援できる解釈や運用の必要性を訴えました。


「望ましい営農型太陽光発電の議論と将来像」


千葉エコ・エネルギー株式会社 会長
馬上丈司氏

次に、4月に設立された営農型社会実装推進コンソーシアムの代表を務める馬上丈司氏が登壇しました。

馬上氏は農水省の「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」委員の経験から、不適切案件の排除に賛成しつつも、「この新制度を各地域で本当に動かしていく主体を誰が担うのか」という根本的な問題を提起しました。

その上で、今後のソーラーシェアリングが向き合うべきポジティブな側面に目を向けるべきだと語りました。ペロブスカイト太陽電池、垂直設置、追尾型システムなど、5年前には見られなかったイノベーションが次々と生まれている中で、2030年の技術状況を見越して、現場が萎縮しない計画づくりが必要だと指摘しました。


「地方自治体と連携した地域に根差した営農型太陽光発電の導入」


一般社団法人中部ソーラーシェアリングやろまい会代表理事
北井久美絵氏

静岡県磐田市でレモン農園を営み、「中部ソーラーシェアリングやろまい会」の代表を務める北井久美絵氏より、現場視点での地域連携のあり方が語られました。

北井氏は自治体連携の経験から、北井氏は浜松市の「カーボンニュートラル推進本部」と組んで突破口を開いた事例を紹介し、行政を動かすためには「自治体や市民が求めている具体的なモデル」を提示することが重要だと伝えました。


パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、決定的に不足している2つの要素として「① 金融(ファイナンス)の不在」「② 地域の起業家との繋がり」が指摘されました。

また馬上氏からは「電気を『農地から産出される生産物のひとつ』と再定義し、持続可能な農業のツールとして実装していくこと」、北井氏からは「子どもたちがしっかり引き継いで守っていける設備・地域作りをすること」、そして千葉氏からは「再エネが農業そのものを豊かにする『対立しないモデル』を技術的に示していくこと」という展望が、ソーラーシェアリングの目指すべき姿として示されました。


基調講演2:「農家所得向上と食とエネルギーの自給を目指して」


東京大学大学院特任教授
鈴木宣弘氏

東京大学大学院特任教授の鈴木宣弘氏は、現在のコメ不足や物価高騰の根底には戦後から続く構造的な問題があるとして、①食料安全保障が他国に依存していること、②経産省主導の輸出偏重政策、③農業予算の削減と財務省の姿勢について指摘しました。

さらに世界情勢の悪化は、日本の食料自給率が実質数%という影響を与えました。加えて「クワトロショック(コロナ、中国の爆買い、異常気象、戦争)」が重なり、肥料や燃料、農業用資材の価格が急騰し、入手困難に陥っています。

今後は、地域で本物を作っている生産者と、それを理解して支える消費者が一体となり、「有機農業×ソーラーシェアリング」をスピード感をもって全国に広げていく必要があります。これこそが、子どもたちの未来と日本の命を守る希望の光なのだと述べました。


徳江倫明氏とのパネルディスカッション

最後に、(一社)フードトラストプロジェクト代表理事の徳江倫明氏と鈴木宣弘氏によるパネルディスカッションが開かれました。

全農地の約18%にソーラーシェアリングを導入すれば日本の全電力を賄えるという試算が示され、農業を「総合エネルギー産業化」する重要性が強調されました。そして一律の規制強化を避け、地域で食と電力の自給圏を作るべきだと結びました。

1日目のまとめ

1日目のイベントでは、新指針による規制強化への危機感や技術革新を背景に、ソーラーシェアリングの多角的な可能性が議論され、福祉や有機農業、養蚕、豪雪地での垂直設置など、農業や地域にプラスをもたらす多様な実装事例が共有されました。また食料・エネルギー安全保障危機が叫ばれる中、全農地の約18%への導入で全電力を賄う試算も示され、農業の総合エネルギー産業化と地域自給圏の確立が強く訴えられました。

1日目の様子は毎日新聞にも取り上げていただきました。
https://mainichi.jp/articles/20260612/k00/00m/040/216000c

【2日目のレポートはこちら】
➡️ 【事後報告】第4回ソーラーシェアリングフェスティバル(Day2)

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